昨日のブログの中でもお話したのですが、日本のBARのスタイルにはアミューズなる物が提供される文化があります。
海外では滅多にお目に掛かりません。
『おつまみ』『お通し』などと訳される類であります。
長く続く先輩方のお店などでは、『煎餅』『塩豆』『ナッツ』などの『乾き物』とされる物が多く出ます。
Beeでも開店当初は、この手の乾き物もお喜び頂いてましたが…、四年目の頃に当時スタッフが病気の為に、一時的に料理を休まさせて頂いた際に…、せめてでもと思い多少手の込んだ物を用意しようと小皿の料理を用意しました。
その後は、スープやグラタン、キッシュなど今までメニューに無かった商品をお出ししてお喜び頂いておりました。
その際は、勉強の為にお邪魔したBARでは、お出し頂くアミューズに自分の店にも採用出来ないかと…、なかば盗みに伺うという感じでした。
去年の今頃は、改装して間もなく準備不足なために…、煎餅や塩豆をお出ししておりました。
お客様より『手抜き』などとお叱りを頂いたケースもありました。
何年か前に訪れたBARで、スイーツの類をお出し頂き衝撃を覚えました。
ビールなどには不向きではありますが…、そのお店の主は、次のお酒に合わせ焼き菓子を出して下さいました。
その昔、ウイスキーやブランディーにチョコレートという。海外のレストランの食後酒に合わせるスタイルに文化を感じました。
『キャトル・セー』なる四つのCは、レストランにおきまして食後ダイニングより席をBARに移し、食後酒を召し上がる習慣の中で…。
『コニャック』『シガー』『ショコラ』『カフェ』の四つのCなるもてなしが至高の時の過ごし方とお聞きした事があります。
(会話が入ると5つになるそうですが…、会話のCとは…?)
箱根にて食事の後に、BARに席を移し『キャトル・セー』なる試みに至福を感じました。
その海外などの究極の至高の世界を、日本のBARでも味わって頂く方向にあると思います。
その考えを持ち、至高の世界を演出するバーテンダーを師と仰ぐスタッフのNは、数々のスイーツの知識があり、私に教えてくれます。
そのNが、最近は自らの手で焼き菓子を焼き上げます。
今夜のアミューズは、『ガトー・ブルトン』です。
仏のブルターニュ地方の焼き菓子で、地元の海水を利用した有塩バターを使い風味豊かに焼き上げるバタースコッチにも似た塩味が特徴です。
ウイスキーにもカクテルにも合う、絶妙な美味しさです。
日本のBARにも、このもてなしの心をアミューズの中に演出する時代が到来した観があります
。
ましてや、自ら焼き上げるNの思いは師匠に対しての感謝の念からなのかもしれません。
肌寒い初冬の訪れの夜には、ハードリカーに手作りの『もてなし』は如何でしょうか…?