ここ墨田には多くのマイスター達が、頑なに静かな面持ちで淡々と独自の世界を築き続けています。
私の幼い頃に記憶にも墨田がガラスの街でありました。
昨日は墨田区観光協会の方々と、錦糸町に所在する
松徳硝子さんにお邪魔して参りました。
創業大正11年よりガラス製造えお手掛け、以前は電球を製造していた松徳硝子さんでした。
その技術を生かし、今日では
『うすはり』というBAR業界だけではなく、飲食業界全般に普及したパイオニアであります。
0.9ミリという薄さに加え、全体が均一な薄さのグラスは革命的な商品を生みだしました。
365日24時間、炉の中では1400℃近くの温度に保たれ、8つに壺に溶かされたガラスの種を三人1チームで無言のまま淡々と吹き続けます。
まさにマイスターという言葉が物語るように、無駄がなく迷いがない聖域の職人の世界です。
吹かれたガラスは500℃に至り、そのガラスを80分間掛け熱を加えながら100℃まで冷まします。
その口をダイヤモンドで傷をつけ、熱を加えて取り外します。その後に鋭利な飲み口を熟練な技で研磨致します。再び熱を加え滑らかな飲み口を作るために焼きを入れます。
そうした行程が淡々と進む中で、吹き上げたグラスの三割ははじかれ、砕かれて除けられます。
しかし世に姿を現わせないガラス達も、再び溶かされガラスの種に戻るそうです。
スタッフの方の説明で私が胸を打たれた言葉に…、
吹き上げた際に見事と素人には見えるグラスでも
、『職人が「まぁ良いか…?」と妥協したグラスは次のセクションで迷惑を掛ける…!』という言葉でした。
『妥協』という己に嘘をつく仕事は、仲間に迷惑を掛け、結果的に仲間に手間を掛けさせ無駄な努力を強いるという言葉です。
胸に詰まる言葉でした。
何事もプロとして胸を張り存在する為には、『迷い』という世界は存在しない筈です。
下町の小さいながら世界にその名を轟かせたマイスターの空間で、大きな教えを頂戴しました訪問になりました。
私の
『早起きは三文の徳』は、ここ
下町のマイスターに導かれた自覚という魂でした。