世間では『秋』という季節になると、『食欲の秋』という言葉が持て囃されます。
厳しい暑さから解き放たれ、海の幸・山の幸が豊富になるこの季節でありますので仕方ない事ではあります。
やはり食欲が増すこの季節は『誘惑』という言葉がぴったりの季節でもあります。
また一つ、秋という季節になると『読書の秋』という言葉が耳に届きます。
読書を趣味になさっている方々には通年を通してのことでありますので、なんら珍しい事ではありませんのでピンとは来ない事ではありますが…、日頃読書とは縁遠い私には『秋』を機会に毎年取り組もうと志します。
しかしながら活字を読み始めると眠くなる性分の私には、毎年志半ばで達成出来ない本たちが山積みになります。
今年こそと思い書店に向かい、何冊かの本を手に取り購入するのですが…、『積読』といわれることに落ち着いてしまいます。
先日もお客様から『是非に…!』と渡された本も未だ開かれず積まれたままである事に心苦しく思います。
子供の頃から読書感想文を要領よく、あとがきから抜粋して逃れてきた私には『本の虫』なる言葉は縁遠い話でした。
息子の宿題に朗読という項目があり、時より朗読に付き合うことがあります。
私の子供の頃にもあったとは思いますが、なにせ不得意な私にはその記憶にすら残っておらず、未だに朗読ということは大の苦手であります。
こんな話をすると、『マスターはカウンターで熱弁をはらい、それなのに…?』とおっしゃる方も多いと思いますが、これとそれは話が別であります。
小学校3年生になった息子は私に似ず、すらすらと感情を込め朗読します。
まるで台詞を語るように声色を変え、感情を込め語りかけます。
最近の学校教育では同じ文章を繰り返し何度も朗読させ、棒読みではなく感情を込めさせる方向にあるのかも知れません。
営業に向かう前の『ひと時の癒し』である息子の語りに、成長を為している息子を誇らしく思いながらも、己の不得意さを思い知らされる今日この頃です。
今年こそ『積読卒業』を目指し、私には見つけられない『本の虫』を探していきたいと思います。