改装のお話も、そろそろ終わりになります。
今回の改装でのテーマであった、『江戸の粋』は果たして演出できたかはさて置き…。
オープンさせてから9年間に、カウンターのこちら側より思い悩み、改善したく思った点は改善出来たと思います。
お客様からはお気づきにならない問題点や、スタッフに対して改善させなければ前には進めない作業性に対しての課題などがありました。
ローカウンターの採用で、店内に段差が出来た点はお客様にご迷惑をお掛けしておりますが…、ゆったりした客席やグループでの御来店のお客様に御好評頂いております。
お一人様、団体のご利用のお客様の共存出来るレイアウトが課題でした。
前店舗の営業の中では団体のお客様が来店なさると、お一人様のお客様は居た堪れなくなりお帰りになるケースが多くありました。
ここ向島の地では、勿論お一人様でのBARのご利用は多いのですが、ときにグループでのご利用なさるお客様も多いです。
『三名様』の多さには改装後の営業で驚きました。
私のお気に入りの二名様用にオーダーしたソファー席の需要が少ないのにはショックすら感じました。
9メートルを超えるカウンターを前にすると仕方ないのかもしれませんが…。
BARという空間は、路面店だけではなく地下やテナントビルの数階というケースが大半です。
浅草や下町の自宅兼店舗などのお店は極マレで、銀座などのBARは地下や二階より上にあり路面店の方がマレになります。
外装を必要とせず内装での空間づくりが重要で、扉を開け中に入ると別世界が広がる期待感に心弾ませます。
その内装には照明は大事な要素です。
薄暗い店内に入り込むと、心静まり現実逃避の時間を楽しむ大人の時間の楽しみでしょう。
私は従来のBARでの暗さだけでの演出だけではなく、料理のある当店ではカウンターに並ぶお酒や料理を美しく照らし、邪魔にならない明るさをリクエストしました。
ハードリカーのストレートだけなら良いのですが、カクテルや料理は色合いも味のうちと考えます。
今回の改装で採用したカウンターの照明は、技術の進歩のお陰で従来の照明にはない素晴らしさがあります。
以前はお料理をお二人様にお出しすると、照明の輪の間になり暗く色合いが表現出来ない状況でした。
カウンターの上だけをフラットに照らし影をつくらない照明です。
あまり明るすぎる照明ではBARらしさの演出がしづらく、ましてやお客様のお顔を煌々と照らすと御自分の赤らめた顔色に引き気味なられる方も多いです…(私がそのタイプです)
ましては女性がより美しく栄える照明が希望でリクエストしました。
最近のBARにおきましては、女性のお客様のご利用は増え、時代の変化に加えて仕事を持つ女性が躍進しました。
仕事の帰り道に気分転換にお立ち寄り頂くケースは、昔の大先輩のバーテンダーには思いも寄らないでしょう。
女性のお客様に、安心して快適にご利用いただける様に各店舗は試行錯誤して努力しています。
そんな現代にはBARという空間は、もはや殿方の城ではありません。
お疲れで辿り着くお客様の表情を優しく照らし、おくつろぎ頂き柔らかな表情で家路に着いて頂く為の空間でもあります。