先日に箱根に訪れた際に、日頃に暮らす地にはない贅沢を感じました。
夜の闇…。
人は闇に恐怖を感じる方も多くいらっしゃる事でしょう。
向島の地に産まれ、このかた水戸街道の車の流れを当たり前の様に感じながら、40数年を暮らして参りました。
車の往来の途切れる事の無い都会育ちの私には日常には感じ取れない贅沢です。
その闇の中に、静寂と云う自然界の緩やかな力を感じる瞬間です。
食事を前に、部屋に横たわり目を瞑ると…、
夕暮れを迎える箱根に、ヒグラシの声が響きます。
最近、向島の地にも蝉の声を聞かなくなりました。
子供の頃は、夏になると蝉の声に夏本番を感じたものですが…。
そして食事も済み、BARでの友人との語らいの時間を楽しみ部屋に戻ると…。
窓の外には、夕闇がそびえ立ち私を迎えてくれました。
山の天気は変わりやすく、昼間箱根に向かう際は、太陽とにらめっこしながら車を走らせましたが、箱根に到着すると一面に雲が立ちふさがって、星空という日頃東京では味わえない夜空のプレゼントは期待出来ませんでした。
酔いざましに、バルコニーに座りこんで煙草に火をともすと…、闇の中に雨というオーケストラが私を包み込んでくれました。
木々を濡らす雨の音、軒をつたわる雨だれの音色…。
つい日常では車の音にかき消されてしまい、楽しむ事も忘れていました。
静寂な夜。
ここオーミラドーには、部屋にテレビは用意されていません。
こんな贅沢な時間を過ごせるなんて素敵ですね…。