念願叶って「すみだ」で最も伺いたかった『ごでんや』さんにお邪魔させて頂きました。
所在地が移転する前は日曜日定休で我がBeeと重なり、伺うことが出来なかったお店でありまして、只今の場所に移され大分季節が流れてしまいましたが、念願叶って伺わせて頂きました。
築80年という民家を改装し営業為さっている佇まいは、京島の路地を入り見つからない立地と佇まいですが、予約無くしてはお願い出来ない人気のお店であります。
『日本酒のお燗と料理のマリアージュを楽しむ』
お任せのコースのみのスタイルであります。
では、昨夜の『ごでんや』さんをご案内させて頂きましょう。
⑴空豆の前菜
サヤ焼きした空豆に昆布〆したサヨリにキウイフルーツのソースです。
①開運(静岡) 純米生 H25年酒造 提供お燗温度16℃
後味の余韻にキウイが広がる開運を合わせた前菜は、香ばしい空豆のコク・甘みとサヨリの昆布〆の旨味がマリアージュして、酒と料理の余韻が倍増致します。
⑵的矢の牡蠣とタコのコンディマン
「コロッケを作りたかったのです。」
その言葉通りに牡蠣とタコのタルタルをサクサクのパン粉で包まれた逸品です。
②宗玄(石川) 純米生 H25年酒造 お燗温度18℃
的矢の牡蠣の磯の風味に負けない宗玄は余韻にワカメが相性抜群です。
タルタル状にした牡蠣とタコに加え、ワカメの食感が素晴らしくマッチングします。香ばしいパン粉のマリアージュは「美しきコロッケ」であり、全く思いも寄らなかった料理に衝撃を受けます。
磯の風味に宗玄が似合う素晴らしいマリアージュでした。
「コンディマン」とは「薬味」「付け合わせ」に近い意味であり、香ばしいパン粉や芽吹きを表現するローズマリーが楽しいだけではなく、本当にコロッケを感じられるアイデアであります。
⑶ホワイトアスパラのカルボナーラ
ホワイトアスパラをパスタ状にすき、玉子の白身を燻製しベーコンに似た風味をだした冷製
③伊根満開(京都) 赤米酒 H24年酒造 お燗温度47℃
今回の訪問で私が一番衝撃を受けたマリアージュであります。
料理もさる事ながら「赤米酒」の存在に驚きです。
「オロロソ・シェリー」や「紹興酒」に近い赤米酒は、カルボナーラという料理にベストマッチする組み合わせでありました。
ホワイトアスパラをパスタ状にすいた発想も素晴らしく、冷製でありながらカルボナーラという料理法に膨らませる感性は拍手喝采であります。
赤米酒の甘味とボリューム感に相性抜群でもあり、アーモンドが余韻に合います。
物凄く衝撃を受けた赤米酒を冷でテイスティングさせて頂きましたら、酸が立ちすぎます。このお酒を燗酒にする発想もまた拍手喝采であり、日本酒を燗酒にする「燗酒師」はソムリエ以上であります。
⑷寒平目のソテー カカオとマッシュルームのソース
とにかく官能的なソースの発想です。
カカオとマッシュルームというアロマなアフターテイストを楽しむ大人の料理です。
④十旭日(島根) 純米吟醸生 H13年酒造 お燗温度48℃
古酒のお燗に衝撃を受けます。
十年以上の古酒を燗酒にする意味合いは料理とのマリアージュなのでしょう。
非常に強いお酒であり単体では落とし辛い思いもしますが…、カカオとマッシュルームの濃厚なアロマに合わせると、びっくりするほど爽やかなハーモニーを生み出します。
改めてマリアージュの素晴らしさを実感致しました。
⑤文旦のジェラート
文旦の苦味が広がり大人の酒呑みを唸らせるジェラートですね…。
⑥ラムチョップのグリル ブルーチーズソース
フルムダンベールのブルーチーズソースは、ラムや野菜との相性抜群です。
⑹奥播磨(兵庫) 純米袋搾り H24年酒造 お燗48℃
この奥播磨も強いお酒であります。
文旦のジェラートの次に、この奥播磨を繋げる意味が物凄く分かります。
ポテンシャルの高いお酒の余韻に文旦が共鳴しシンクロしながら、フルムダンベールのソースにバトンを渡します。
ラムチョップの風味を抑え込む程の奥播磨を、ブルーチーズの濃厚な表情が引き付けます。
シンクロという意味に合点が行きました。また野菜の使い方に拍手喝采します。ちぎられた赤キャベツの食感にクレソンのほろ苦さはソースにピッタリです。
とても勉強になりました…!
⑦アジのポワレ ムール貝のスープ仕立て
鯵の焼き加減が絶妙です。
⑺隆(神奈川) 純米 H18年酒造 お燗温度47℃
このお酒は私なりには八角や丁子に合うと思います。
優しいながら旨味たっぷりのムール貝のスープの上に、香ばしく焼き上げられた鯵が顔を出します。鯵の青魚風味に隆はマリアージュします。深みのあるスープの中に沈められたヤーコンの食感や甘味がムール貝の風味にベストマッチし、シンプルな装いなれど内容満載な逸品です。
バケットが欲しくなる奥行き深き料理です。
⑧フォアグラのコーヒーキャラメリーゼ
まるでデザートのように見える料理でありますが、奥行き深きフォアグラ料理です。
⑻玉川(京都) 山廃純米生 H24年酒造 お燗温度51℃
山廃の特徴であります奥深い風味には醤油や蜂蜜の香りがあります。
このマリアージュは実に『みたらし団子』を連想させるカップリングです。
フォアグラとのキャラメリーゼソースと焼かれた苺の相性はバッチリであり、このお酒にも同じ表情があり、何故このお酒なのかは良く理解出来るマリアージュです。
日本酒に煙草の香りが合うと感じられ、生まれて初めて煙草に合う日本酒を見つけられました。
⑨ポンレベック(チーズ)
実に状態抜群のポンレベックです。
発酵の具合は糠漬けを思わせる熟成感です。
⑼Time Machine(京都) 純米 H22年酒造 お燗温度48℃
先ほどの玉川(京都)のデザート酒です。
日本酒のデザート酒に驚かされながら、その糖度高きお酒を燗酒にする発想には頭が下がります。
絶妙に熟成したポンレベックと合わせますと、甘味が倍増しチーズの塩味とマリアージュします。
デザートワインに近い日本酒に衝撃を受けながら、バーテンダーである発想は加水を試みます。
「ベルモット」
なるほど…!
非常に興味深い経験をさせて頂きました。
御兄弟で営業なさるお二人の主導権はどちらなのか?
お酒と料理とのマリアージュ。
「すみだ」に奮闘する同志として、お二人の活躍がとても楽しみであり、私も素晴らしい経験をさせて頂きました。
ありがとうございます。