「築地で何が食べたい…?」
そんな会話は10年前に彼と交わした事がありませんでした。
当時の築地仕入れは営業後に私が一人で出掛ける習慣でしたので、ヘルプで里帰りしてくれている伝説の男と向かうのが実は初めてであります。
「何でも…?」
そんな戸惑いもなく、せっかく
築地に出掛けるのですから魚という方向になりました。
「和食定食 かとう」さんです。
こちらはバーテンダー御用達の和食屋さんです。
土曜の朝などは業界人が集まり、「お疲れさまです…!」と云う声が飛び交います。
一人暮らしのバーテンダーには、なかなか魚を食べる機会は少なく、みな肉でなく魚を欲します。
「ブリ照り」
久し振りに味わう和食の美味しさです。
私もこの年代に達しますと、本来は和食の方が当然好みになるのでしょうが…?
未だ若いつもりの心情からかガッチリの洋食が続いてました。
しかしながら「旨い」に尽きる言葉しか浮かばないほど、今の私には和食の美味しさが染み渡ります。
伝説の男は
「金目の煮付け」です。
金目から染み出た旨味を豆腐が吸い、煮汁をご飯に掛けたくなる心情に迫られます。
久し振りの和食に満足する中で、あの頃は一人で築地に向かい、
店でまかないを作り食べた筈が誘惑に負けもう一食平らげた頃が懐かしく思い出されました。
結果、私は83㎏まで膨れあがった思い出ですが…?