職人のプライドとは、全身全霊という魂を込めた『技の境地』なのでしょう。
Beeがオープン以来お世話になっており、今日では向島花柳界でも『芸者の中の芸者』とも呼べる姉さんがいらっしゃいます。
芸事に対する心意気は並大抵なものではなく、やはり『芸者の鑑』とも呼べる姉さんであります。
この不況下の中でも花柳界を想い、向島に対しての気持ちは誰にも負けないほどの想いを感じられます。
その姉さんに、以前置屋を構え『お母さん』と呼ばれるお祝いに何かと思っておりました。そしてお客様のとんぼ玉作家のO氏にお願いして、置屋さんの紋様を入れた『帯止め』をお願いしておりました。
置屋開きで頂戴した手拭いをO氏に渡し、浅草の旦那衆によって描かれ染められた紋様を『とんぼ玉』の世界で再現していただくという無理難題をお願いしておりました。
そしてO氏の力作が届けられました。
乳白色の中に、邦画ならではの顔料から染められた微妙な藍を再現なさり、裏面には『のぞき』という扇の世界で使われる技法を取り入れた作品であります。
力作を差し出すO氏に眼差しには、『職人のプライド』という炎を浮かべた瞳を宿し、私の無理難題を成し遂げた達成感が伝わってきました。