蕎麦という食べ物には各地方の特色や地域性を感じられる事があります。
以前、Beeのカウンターの材を見る為に山形に行った際に、食べることが出来なかった『山形板蕎麦』があります。
先週の定休日にお世話になっておりますお客様のお供で、清澄白河にあります『浅野』にお邪魔しました。
昼しか営業なさってないお店でして、夜の営業は常連になって初めて利用できるお店であるそうです。
周りをお寺で囲まれている普通の一軒家で、暖簾とのぼりが無ければお店とは認識出来ないお店です。
その日は、私達5人だけの貸し切りでありました。
ご夫婦二人で切り盛り為さっている蕎麦屋さんであり、普通の民家にお邪魔していただいている印象の店づくりです。
先ずは先付けと茶碗蒸しが容易して頂きました。
卵焼き・かまぼこ・山葵漬け、身欠きにしん、コシアブラの小鉢、素朴な茶碗蒸し
その後に山形直送のゼンマイのおひたし
山形名物の馬刺しが出ました。
その馬刺しの食べ方で驚いたのが『雪塩』での食べ方でした。大概はニンニク醤油で食べることを勧めて下さることが多い中、塩での食べ方は素材に対する絶対の自信が無ければ出来ない食べ方でしょう。
全く臭みがなく、むしろ甘味を楽しむには『塩』は欠かせないかも知れません。
朝採りのボイルしたアスパラガス
山形の天と地の恵みなる山菜の薫り高き天ぷら
山形の銘酒『初孫』をいただきながら、最後に待望の『板蕎麦』が出てきました。
新潟の『へぎ蕎麦』の容器にも似た板の箱に入れられた状態は、やはり新潟と山形は陸続きである地理的状況が感じ取れます。
海草をツナギに使った『ツルっとした』へぎ蕎麦とは違い、山形の板蕎麦は十割蕎麦であります。現地より細めに打ってあるそうですが、香りの良い綺麗な十割蕎麦でした。
女将に勧められ先ほどの『雪塩』で頂戴すると、蕎麦の香りと甘味が膨らみました。その後はこだわりのかえしで頂戴したのですが、甘過ぎず辛過ぎない繊細な蕎麦だれで、仕舞いには蕎麦湯で割り残さず堪能できました。
山形県庄内平野のご夫婦の穏やかでお人柄の宜しい感じが、以前お邪魔した際の鶴岡での方々の人柄と一緒で、何故か懐かしいやら嬉しいやらという気持ちに包まれた『おもてなし』の境地でした。
我がスタッフのNの部屋のすぐ近所の、おおらかな山形のおもてなしのお蕎麦でした。